在宅マッサージでのエピソードをご紹介します

     K.T様 94歳    変形性膝関節症     
K.T様はとても穏やかな方でしたが、戦時中は陸軍の戦闘機パイロットだったそうです。当時は南方を転戦されたとの事、アメリカ軍と高い高度で戦った
ことなど、その当時のことを懐かしそうにお話ししてくれました。

 

戦後は工場を経営された後、都営団地にご夫婦でお住まいになっていました。膝関節が悪く、とても痛みが強いようでした。ご本人いわく、昔の機内はとても狭く、窮屈で、その時に膝を痛めてしまったようだ 最近、その古傷が特に痛む。とのこと。

 

マッサージは膝関節の関節包を中心に膝のお皿付近の靭帯周囲を入念に施術します。変形性膝関節症の場合、骨の変形はありますが膝周囲を柔らかくすることで疼痛を軽減させることができます。また、歩行が不安定なため、室内で過ごすことが多く太ももの筋肉が弱くなっていました。
仰臥位からの抵抗をかけて屈伸運動を十分行うことで筋力維持を図りました。他にも腰部、肩部など痛みがある部分が多く、入念に施術しました。

 

半年ほど継続していくと、膝や腰などの痛みが随分軽減されて室内の歩行が安定し、トイレも自力歩行が出来て、とても喜ばれていました。私もK.T様の戦時中の武勇伝を聞きながらのマッサージはとても楽しい時間でした。

 

しかし、お元気な時間は束の間で、ある日を境に急激に体力の衰えが始まりました。まず、食欲が落ち歩行が不安定になり、体調の悪い日が続くとマッサージもお休みがちでその後、介護認定を受けました。室内に介護ベットとポータブルトイレを設置して体制を整えた2日後にお亡くなりになりました。
この間まで、とてもお元気だったので私もご家族も信じられない思いでした。

 

空に命をかけた青年期でしたが無事帰還し、戦後は工場を経営されて、老後は最後までご自宅で奥様と過ごし介護の世話をかけることなく旅立たれたのです

 

 

   (文:深田謙二)